NPO法人チェンジングライフ

貧困や非行等の理由で自立困難な状況にある、青少年の自立支援をしています。

「神様の力はすごい。」 人は変わり、成長する。

「神様の力はすごい。」 人は変わり、成長する。

https://www.chunichi.co.jp/article/222052
出院後に始めたボクシングで「プロになりたい」と話すヒロさん=大阪府内で
二〇一五〜二〇年度に全国の少年院を出た人のうち、帰住先の調整が難航した人が百六十八人いて、大半で在任期間が延びていたことが、NPO法人「全国再非行防止ネットワーク協議会」(名古屋市守山区)の調査で分かった。出院が遅れれば、社会復帰に向けた意欲の低下や、社会経験を積む時間を奪うことにつながる懸念があり、関係者は改善を求めている。 (芳賀美幸)
調査によると、延びた期間は平均四・八カ月で、二年に及ぶケースも。法務省によると、全国で少年院を出た人の八割が保護者の元に帰っているが、調査で分かった百六十八人のうち保護者の元に戻ったのは一割未満。ほとんどが更生保護施設、自立準備ホーム、民間の協力雇用主に身を寄せた。
保護者以外となった理由を、法務省少年矯正課が一九年時点で調べると、親子関係の断絶が六割。四割は保護者の死亡や病気療養中のほか、親の虐待があったり、過去の交友関係を絶ったりするため、入院前にいた地域を離れることを望むケースもある。
保護者の引き受けが難しい場合、更生保護施設などの職員が本人との面接で受け入れの判断をする。だが、殺人や性犯罪などの重大事件を起こしていたり、以前に入っていた施設で問題を起こしていたりすると、施設側が受け入れに難色を示すこともある。少年の受け入れ施設が少ないという背景もある。
協議会は昨年六〜七月、全国四十八カ所の少年院から、帰住調整が難航した人数などを聞き取った。副代表の野田詠氏(えいじ)さん(45)は「帰る場所がないことで本人が抱く不遇感は大きく、社会復帰への意欲の低下につながる恐れがある。再犯を防ぐために必要な社会経験が不足するなど社会復帰への助走期間を奪うことになる」と指摘する。
「夢を奪われる」 23歳男性、11カ月が2年半に
大阪府のヒロさん(23)=仮名=は二〇一四年の冬、暴力事件を起こし、十七歳で少年院に入った。家裁が判断した在院期間は十一カ月。だが、出院時には二年半がたち、二十歳になっていた。
幼少期に乳児院に預けられ、出院後に受け入れる保護者や親族はいなかった。ヒロさんの社会復帰を支援したNPO法人「チェンジングライフ」(大阪府)によると、少年院に入る前に身を寄せた施設や里親の元で問題行動があったことも影響し、なかなか受け入れ先が見つからなかった。
「少年院で自分と向き合う時間は、自分にとって必要だった」とヒロさん。社会復帰に向けた進路指導などをする出院準備の段階になると、出た後の生活を思い描くようになった。「親がいなくてつらい思いをしてきたので、新しい家庭をつくりたい。そのために仕事を頑張る。ボクシングにも挑戦したい」
だが「出院に向けた段階を踏んでも、帰る先がなく出院が延びると思うと、自暴自棄になることもあった」と振り返る。出院時期は一向に決まらず、教官に対して「夢を奪われている」と吐き出すこともあった。
同法人が引き受け手になり出院できたのは、準備段階に移行してから一年後の一七年八月。「帰る先がないという理由で、自分と同じ思いをする少年は減ってほしい」と訴える。

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