もう18歳になったS君と出会ったのは、彼が16歳の時。
ひょんなことから、チェンジングホームで暮らすことになり、彼がそれまで住んでいた部屋を引き払って、入所となった。
しかし、その数日後、ある事件を犯し、逮捕。医療少年院に入院となった。
一年後、出院して、チェンジングホームではなく、当法人が運営する、自立援助ホームで彼を迎え入れた。
仕事を頑張り、ホームのルールも彼なりに守ろうと努力していたが、数か月後、事件に巻き込まれ、逮捕。再び、鑑別所に入ることになる。
今回の逮捕前、仕事に熱心に通っていたことと、事件にはその場に居合わせただけの共同正犯の色合いが強かったことから、審判では、保護観察処分となった。
その処分から、約半年ほど経過した。
この半年間、ずっと仕事にいそしみ、頑張っていた彼。
久しぶりに食事に誘った。
彼と彼の彼女と一緒に3人で食事に行った。
毎日、仕事場で重いものを運び、腕の太さは前の二倍くらいになっていた。
ずごくたくましくなっていた。
店に行く前の彼との会話。
Sくん「えいじさん、K(自立援助ホーム入所時代のルームメイト)はどうしていますか?」
わたし「少年院行ってもうた…。」
Sくん「彼女とはどうなったんですか・・・?」
わたし「…他に彼氏できたらしい…。Kに手紙でどう書けばいいか、書きにくいわ。」
Sくん 「えいじさんも、損な役回りで大変ですね…。」
そんなこちらの苦しい立場を思いやる発言から、成長を感じた。
そこですかさず、Sくんの彼女が冗談ぽく一言。
Sくんの彼女「あんたも、少年院行っていたら、わたし待ってへんかったで。」
わたし 「S、少年院行かんで、ほんま、良かったなあ!彼女や職場の社長に感謝やなあ!」
Sくん 「はい!」
・・・ ・・・ ・・・
受け入れた子がすべて、順風満帆に行くわけではないが、
迎え入れ、そこを起点に、いろんな出会いが与えられ、
さまざまな人の苦労や犠牲や愛によって、居場所や頼れる大人を喪失した子どもが”社会的居場所”を見い出していける。
出会ったころは、数日で逮捕され、どうなることかと思わされても、こういう良い経過を見ることもある。
店では、二人の将来の結婚について、結婚生活17年の中堅世代のわたしからのアドバイスを少々しました。
写真の人物はスタッフですが、本文と一切関係ありません。
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