NPO法人チェンジングライフ

貧困や非行等の理由で自立困難な状況にある、青少年の自立支援をしています。

~2連続の「住居創出」とその中で課題に感じたこと。~

~2連続の「住居創出」とその中で課題に感じたこと。~

 

*結構、長文です。(文中の登場人物は若干イニシャルと年齢をかえています。)

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12月に入り、18歳の少女Oさんが自立準備ホームに、そして、今週16歳の少年Sくんが当法人が借りている1Rマンションに入寮し、人生の立て直し作業に入った。

18歳のOさんは、少年院に入院経験がある。現在、保護観察中であるが、しんどい過去を抱える彼女をいま、この時期、何とかしようという保護観察官の熱意により、当ホームでの生活が始まったが、飲食のバイト先も見つかり順調な滑り出しとなっている。

特に彼女は社会的養護をずっと経験してきて、大人がずっと、彼女が困らなくてよいように、養護施設やそのほかの自立援助ホームなど、助け舟を出してきた。

今回、また、本人の自己決定なしに、”大人”が次の居場所を簡単に見つけて、彼女を連れてくるだけでは、主体的な人生の生きなおし作業に入れないと考えた観察官が、ちゃんと下準備をして、彼女と私たちとでしっかり話し合いの時を設定し、彼女の口から、「人生を立て直したい。よろしくお願いします。」とお願いするよう指導した。

その甲斐あってか、入所して、一週間以内にバイト先を見つけて来た。

上目線でなく、対象者目線の保護観察官が担当になってくだされば、子どもにとって、何よりの益になる。

まだ、始まったばかりで、これから、紆余曲折はあるだろうが、来春の自立に向けて、試行錯誤を支援していきたい。

さて、話は代わり、16歳のSくんは、児童福祉施設出身であるが、施設退所後も過酷な生活を強いられ、家庭にいることが出来ないと考えられる状況で、私たちのホームで緊急的に受け入れさせてもらった。いや、受け入れざるを得なかった。

すぐバイトも見つかり、やる気をもって、現在、現場仕事に毎朝、早く起きて出勤している。

管轄の児童相談所に相談し、一時保護委託を依頼した。といっても、管轄の一時保護所での一保でなく、当ホームでの一保委託をお願いした。

理由は二つ。1つ目、現在、こちらのホームから近い場所にバイト先が見つかって、もう出勤しはじめていること。

2つ目、彼自身、被虐待児であり非行児でもあるため、同じような境遇から立ち直った子どもの支援をしている当法人のホームで生活することで、自分自身も励みになると感じているとのこと。何より、本人の希望であった。

しかし、管轄のセンターからは一保委託はできないとのこと。

理由は、1Rの一人暮らしのため、スタッフが24時間体制で一緒に暮らさないからだと。

しかし、種々のケースはあるにしても、当法人では、スタッフが近隣に住み、いつでも駆けつける場所に住んでいるので、今まで、保護観察所も、家裁も委託可で来ている。

しかも、現在は別の自治体の管轄であるが、近くで自立援助ホームも運営しているため、何かあれば、常駐スタッフが数分で駆けつけることもできる。

しかし、管轄のセンターは、24時間常駐でないを理由に一保委託してもらえなかった。それは果たして、子どもの最善の利益なのだろうか。

当然、わたしたちはそのSくんのために、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、レンジ、炊飯器、暖かい布団(写真にあるように)を購入して用意し、今後、食費や家賃を支援させてもらう。それには、応援してくださる企業や財団からの助成金の支えがあってできることだが、それは、民間任せでいいのだろうか。

もし、虐待をする親権者が当法人での生活に気づいて、奪還しに来たとしたら、一保委託もされていないSくんを親権者から守れるのだろうか?

一保委託されているなら、親権者に私たちはこういえます。「彼は今、こちらでバイトを頑張ってお金をため、静かに自立を目指したいと希望しています。行政から一保されているので、勝手に連れ出させるわけにはいきません。ご理解ください。」

そういって追い返せる。

自立準備ホームでは、今まで16歳~19歳の少年・少女を1Rマンションで受けてきて、ほぼほぼ、自立していってくれた。

今回のケースは思い切って、児相長の判断でして頂きたかった。

わたしたちは、子どもの最善の利益を考えるなら、1Rマンションでの一保委託も実施すべきだと考えている。すでに、それを実施している他県の自治体もある。

今回、その管轄のセンターに腹が立ったのは事実だが、それとは別に、ありがたかったのが、Sくんの出身の児童福祉施設の所長さんが遠くからすぐ駆けつけてきて、Sくんと会って励まし、私たちにも頭を下げてくださった。こんな人がいるから頑張れる。

こういう人が行政の責任者であったら、

「私が全責任をとる。今回、一保委託にする。すべての責任はわたしがとる」

なんて、言ってくださるのではないだろうかと想像・・・。

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